昭和のウエイトレス ブスくれ上等

昭和名物に大型喫茶店があります。
最近の弘前のカフェと言えば従業員2〜3人の小規模店が主流です。ところが1970年には、従業員10人前後とか100席以上もある大型店も在りました。しかも個人店です。

「田園、キング、スワン、バンビ、御苑…」

懐かしい名前に聞き覚えのある方もおいででしょう。何故かパチンコ店の隣とかが多かったですね。2階席に、3階席、吹き抜け・螺旋階段・噴水の豪華喫茶、平成のファミレス同等か(当時ファミレスはなかった)、更に大きいものも。中でも、当時の朝日会館「御苑」は大都市仙台を差し置いて東北最大の喫茶店と言われていた。


メニューはコーヒー・ジュースが殆ど。調理といえばサンドイッチかパフェぐらいなので、厨房には一人か二人で十分。一方ホールには制服姿の綺麗どころをウェイトレスとして侍らせるのです。仕事は飲み物を運ぶ、食器を下げること。飲み物といってもジュースかコーヒーが殆どだから、カップかグラスを運ぶだけの単純作業。
お客さんのオーダーも

「ホット」

が殆ど。ホットコーヒーとは言わずにホットで通用する。紅茶は「紅茶」というのだがコーヒーだけは何故か「ホット」なのだ。この大型喫茶店のコーヒーはまとめて何十人分も寸胴に作り置きし、オーダーが来れば人数分を寸胴から小鍋に汲み分け、沸かしなおして提供するというシロモノ。

「ホットでいいや」

とかいわれてもしょうが無いのですが。また、当時の喫茶店は飲食目的ではなく待ち合わせの場所・或いはそれまでの時間つぶし・喫煙休憩場所として使われていたのです。旨いマズイをいう人も殆どいません。

話をウェイトレスに戻します。
当時のウェイトレスは美人でスタイルがよく、綺麗どころを揃えたお店はそれなりに人気があったように思います。カウンター辺りに、制服ウェイトレスが、ズラーっと整列。実に壮観な景色です。しかしそのウェイトレス、お客に対しては一律無愛想です。コーヒーカップはテーブルに

「ガタン!!」

と乱暴に置くのは当たり前。縦しんば静かに置いたとしても、その表情はツンとしてるどころか、ムッとしてるかんじで、ブスくれてるのなんの。学生・高校生如きには一言も口をきかず、ホラよと飲み物を置いていくだけ。

「お水下さい」

なんて余計な仕事を増やそうものなら、ピッチャー(水差し)ごともってきてテーブルにドンと置かれ、あとはお前らで勝手にやれとブスくれる。

勿論、全部が全部 喧嘩腰の店ばかりではないのですが、そこは昭和時代ですから、これしきで文句をいうような「クレーマー」なんてものはいません。嫌ならこんな店二度と来るかと他の店に乗り替えるか、テーブル据え置きのシュガーポットに塩や水を混ぜてやり、或いはテーブルの裏にガムを貼り付けて静かに退店するのだ。今思えば、お客も、ヤクザ、チンピラ、不良ごときがワンサカくるので彼女らも舐められてたまるかと気合が入っていたのかも知れない。

そんな彼女らも客が知り合いなのかお馴染みなのか、少しの笑顔をみせる事もある。普段は無愛想を通している人が、ほんの少しの笑顔でこれほど素敵に見えるものかと関心したものです。

平成の今、彼女たちは大人どころか初老・中老を迎えている筈。今時の無神経ともいえる程の安っぽい笑顔満面のお調子接客に何を感じ、何を思うのでしょうか。

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