サンプルロースター パンチング有りと無し

1. パンチング無し二重ドラム(熱気焙煎)


分解するとこのように、ドラムは2重になってます。
直接火が当たらないので温度上昇には時間がかかります。
メリットは

  • 温度計が使える(ドラム内の温度が測れる)
  • 火力に対する温度変化が緩やか(2重ドラムだから熱伝導に時間がかかる)
  • 多少の蓄熱効果はある
  • チャフが飛び散らない
  • 焙煎中、外気温や風による温度変化は殆どない
ぐらいでしょうか。デメリットは
  • 火を消してもすぐに温度が下がらない。火力を上げても即座に反応しない
  • ガスコンロでは熱量に限界があり1ハゼ8分以内でなら200g前後が限界。
  • 300g以上はガスコンロの強火全開でも20分以上は必要。10分以下の焙煎は無理。
外側ドラム→空気層→内側ドラムの順で熱が伝わるので、温度変化には時間がかかります。それを予測したうえでの煎りあがりのタイミングを考慮しなくてはなりません。焙煎後10分経過してもドラム内の温度は100度以上を維持します。火傷や洋服の焦げにも注意が必要です。2重ドラムで通気性が殆ど無いとうこと。熱し難く冷めにくいのが特徴。

2.パンチング有り一枚ドラム(直火・熱気通過式)




 早い話が「回転式炙り焼き」です。熱は素通りで蓄熱は不可。ガスコンロの炎がそのまま反映します。中火で200gなら6分程度で、260gなら8分ハゼが来ます。回転数が速いと温度が下がります。回転を止めると勿論焦げます。放置すれば燃えます。風による炎の揺れや、ドラムに風が入るとすぐ温度が下がります。

メリット
  • 火力に対する反応が早い。(蓄熱はゼロ)
  • 二重ドラムに比べて短時間で焙煎できる
  • チャフがドラムの中に溜まらない
デメリット
  • ザルのように素通し。熱気が溜まらない。
  • 温度計は上昇か下降か一定かの傾向判断としてなら使えるが、通過する空気の温度しかわからない
  • チャフがパンチングの穴から出てコンロや周囲に散らばる
豆の温度と通過する熱気の温度はイコールではない。風が吹いたら火力が変わる。豆の温度を測る手段がない。焙煎の再現性を上げるには風対策と火力と回転数の安定が必要(困難)。これは一番の欠点でしょう。
 温度測定は、非接触型(※1)の温度計で豆の表面温度を測ることが可能なら希望がないわけではない。しかし、右手でドラムを回し、左手でレーザーを豆に当てるという同時作業で温度を揃えることは困難。まだ手網のほうがまし。豆に直接温度計を突き刺すこともできるが、回転ドラムではそれも無理。

※1 非接触温度計は放射状に測定するのでドラムの狭い入り口から内部の温度を測るのは無理のようです。

3.パンチングなし1枚ドラム

火力が欲しくて外側のドラムを外して内側の1枚だけを使ってみます。
  • 風の影響を殆ど受けないので温度計が使える。
  • 二重ドラムよりは火力に対して反応が早い(蓄熱が少ない)
と予測したのですが、意外に予熱に時間がかかる。2重ドラムと大差ない。


4.使い分けとしては

  1. 火力が伝わりにくいので時間がかかるが安定感では二重ドラム。
  2. パンチングは生豆250g、火力は中火で、1ハゼ8〜10、中火で10〜12分。。深入りならさらに2ハゼまで延長。
  3. 1枚ドラムは中途半端で無用かと思います。
早く焼けるパンチングが使いやすいと思います。いずれにしても家庭用・個人用の器具です。鋳物でできた業務用焙煎機のような蓄熱・熱風効果は望めません。味だけなら手鍋焙煎がおすすめですが、鍋も200gをこえるとなると重労働だし、時間がかかってしまい、風味が減ります。(手鍋も手を止めると焦げます)
何であれ、豆に必要な熱が加われば焙煎できます。好みの問題です。

※ 温度計の使い方

勘仕事には限界があります。ましてサンプルロースターにはガス圧計もなく、一定の回転数を維持するモーターもありません。せめてもの目安として温度計だけが頼り。密閉型二重ドラムでは内部の空気温度変化の傾向は一応わかります。目安としては、
  • 温度が上昇傾向
  • 温度が下降傾向
  • 温度が安定傾向
ということが分かるだけです。6秒で1度上昇すれば1分で10度上昇と目安が出来ます。10分では60度上昇ですね。現在100度なら10分で160度になるわけです。1ハゼの温度を記憶しておけば上昇率で時間をコントロールできます。
 デジタル温度計、タイマー、カウンター(アプリも)を使う方法があります。
  1. 先にメトロノームを60にセットし、スタートする。
  2. 焙煎の準備が出来たら次にストップウォッチをスタートする。
耳で秒数をカウントして、1秒ごとに何度上昇するかを掴む。煎り上がり温度までの時間を予測できます。

タイマー

カウンター



温度計はデジタル式がおすすめです。アナログ式は反応速度が遅いです。デジタルでも100度の温度差を表示するには1分ほどかかってしまいます。瞬時に温度がでるのはレーザー付き非接触温度計ですが、照射範囲(測定範囲)が不明瞭です。


※ 家庭用のハンドロースターですから、プロ用焙煎機のように正確な焙煎は期待できません。お気軽・お手軽に楽しみましょう。夫婦で最低6杯(毎食後)はコーヒーを飲むので生豆300gで、
  1. 最初の5分、豆色が白〜黄色までは火力を上げすぎないように。
  2. 残りの5分で(175度〜180度)1ハゼ。
  3. スプーンで豆の膨らみ・艶で等で煎り止め。
  4. 速やかに冷却。(https://www.ishiimitsugu.com/2019/04/roaster-cooler.html

要は、機械が変わっても時間と火力の関係は同じ。豆の状態を無視した時間と温度だけのパターン焙煎はだめです。

火力で選ぶならパンチングドラム

蓄熱機能はどれもないといってもいいと思います。唯一火力が得られるのはパンチングドラム。火力があると甘みが出ます。一口コンロでも強火でお釣りが来ます。やり方次第では再現性も上げることができるでしょう。

※ 手網よりはガラス蓋付き片手鍋焙煎がおすすめです!

今となっては手鍋焙煎がおすすめです。理にかなっているので経過が判りやすく修正もしやすい。結果、癖がなく、風味・旨味がよくでます。大型焙煎機を使う前に焙煎を理解できます。


2020年1月22日 追記

  • 燻り臭についてよく言われますがパンチングのある無しに関わらず感じたことはありません。私の鼻がおかしいか・短時間焙煎・長時間焙煎になっているとしか思えませんが…。
  • 基本的に深煎り(2ハゼの終わりまで)は豆の個性を殺すものだと思っています。アイスコーヒーかコーヒー以外の混ぜ物(ミルク・豆乳・香料)でしか使えません。

2020年11月5日 追記

今更ですが、回転による摩擦音が気になる場合は「食品機械用グリース」を小指の先程度を接触部分に塗るだけで摩擦が消えて、音も消えて、回す力もかなり楽になります。塗りすぎると熱でダラダラ溶け出すのでご注意。

2020年9月1日 追記

余談ですが、リンナイの一口ガスコンロには五徳がついてきます。今までは外していました。なにげにもとに戻してサンプルロースターを台ごと(これも五徳?)載せてみたら誂えたようにピッタリはまる。これ以後は横滑りゼロ。ロースターだけ外すとそのままコンロとしてお湯も沸かせる。

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